東京高等裁判所 昭和31年(ツ)27号 判決
原判決が、第六次強制疎開にさいし本件土地の借地権を建物と共に収用したとの認定判断を為すについては、上告人主張のように、たんに第六次疎開の建物補償額が第一次ないし第五次までの建物補償額に上廻るとの一事で為したものでないことは原判決の説示を読めば自明なことであるばかりではなく、右のように、土地の借地権と右土地上の建物の所有権とが同一人に属する場合においては、その両者を各別に評価算定しなければ収用できないものではなく、これを一括して評価算定することも可能であり、且つ適法なものである。その上、原判決の挙示している証拠によれば原判決の認定しているように、第六次強制疎開にあたつては、東京都が空襲が激化し戦局が逼迫してきたので、手続を簡易化するために、土地についての借地権とその地上の建物とを一括して評価算定し上告人両名の本件土地の借地権と右地上の所有家屋についても一括評価して収用することとして、上告人両名にもその旨通告したことを認めるに充分で、本件土地に対する収用もまた適法であるから、原判決には憲法第一一条、第一二条、第一三条、第二九条、第九九条等に違背しているとの事実はなにも認めることができない。
(柳川 村松 中村匡)